導入事例

株式会社アルペン

全国400店舗の顔認証をICカード認証にリプレイス
業務変革のスピードに追従可能な、連携性の高い認証基盤を整備

株式会社アルペン
  • Soliton OneGateでICカード認証を実現、店舗での認証不具合を解消
  • 操作性と管理性も高く、ユーザーの追加削除などの対応効率が向上
  • クラウドサービスのIDaaSを導入したことで、業務アプリの更新などのDXに対応できるように

株式会社アルペン様 イメージ図

店舗での顔認証で不具合が頻発。外部環境の影響を受けにくいICカード認証への回帰を決断

 株式会社アルペンは、総合スポーツショップ「スポーツデポ・アルペン」、アウトドア専門店「アルペンアウトドアーズ・アルペンマウンテンズ」、ゴルフ専門店「ゴルフ5・ゴルフ5プレステージ」などの店舗をはじめ、スキー場、ゴルフ場、フィットネスクラブの運営、プライベート ブランドの開発・製造などを幅広く展開。2022年に50周年を迎えた同社は、グループの総力を結集した旗艦店として「Alpen TOKYO」、「Alpen FUKUOKA」に次いで2024年3月に「Alpen NAGOYA」をオープンするなど、スポーツ小売業界のトップランナーとして積極的な事業展開を続けている。

 同社はグループウェアにGoogle Workspaceを採用し、業務アプリはkintoneで内製化するなど、業務変革のためのDXを積極的に推進している。オフィスや店舗で勤務する約3,000人の社員に加えて、全国の約400店舗ではアルバイトを含む約12,000人が、Android OSのスマートフォンとタブレット、WindowsのノートPCを駆使して、日々接客業務を行っている。

 店舗の各デバイスは共用のため、利用者を特定する認証が欠かせない。同社はパスワードレスやSSO(シングルサインオン)を実現していたが、認証における課題を抱えていた。情報システム部 ITマネジメントグループマネジャーの尾林 寿隆氏は、次のように語る。

「店舗では過去、ICカード認証を用いていましたが、機器の故障やカードの紛失などのリスクを考慮して、 数年前に顔認証に変更しました。しかし実際に運用すると、顔認証は予想以上に外的環境の影響を受けることが分かりました。コロナ禍でマスクを着用していると認証ができず、それを解消するのにかなり時間がかかりました。さらに、店舗によっては照明を暗くしているエリアもあり、何度も認証に失敗する事象が多発していました。また、写真による成りすましを防ぐために動的検知を採用していたこともあり、店頭で従業員が何度もアクションしないと顔認証ができず、接客業務に支障をきたしていました」

 こうした課題を解消するべく、同社は解決策を模索。結果として再び、ICカード認証に戻すことを決断する。その理由を、情報システム部ITマネジメントグループの玉置 貴洋氏はこのように話す。

「さまざまな可能性を模索し、トークンの利用なども検討しました。しかしトークンの紛失や機器故障のリ スクがあり、アルバイトを含む従業員が多くの店舗で働く当社の業態には合わないと考えました。勤務時 間の打刻にも利用するICカードの社員証なら全員が常に携帯しており、リスクや抵抗感も低いと判断し、ICカード認証に戻すことを決めました」

ICカード認証およびAndroid、iOSにも対応できるSoliton OneGateの採用を決定

 併せて、従来の認証およびSSOのシステムは店舗 系システムの追加や変更のたびに改修が発生し、そのたびに時間とコストがかかっていた。そこで同社は今回のリプレイスを期に、IDaaSのサービス利用を基本方針とした。しかし、同社の要件を満たすサービスがなく、選定までには紆余曲折があったという。

「当社は事業継続の観点から、店舗と本社でADを分離していました。複数のADがある環境に対応でき、さらにGoogle Workspaceのアカウント ログインに対応したものとなると、ほぼ選択肢がありませんでした。しかし現在はほとんど基盤がクラウド化しており、ADを分ける必要性も低くなったことから、まずは先行してADを統合することとしました。そうすることでサービスの選択肢はやや広がりましたが、次なるハードルがICカードおよび、Andoroid OSとiOSへの対応でした。最終的にそれらの要件をすべて満たすIDaaSは、Soliton OneGate(以下、OneGate)だけでした」

 当時OneGateは、ロードマップで実装予定はされていたものの、ICカードにはまだ非対応だった。しかし同社からの相談を受けたソリトンは計画を早め、2023年春にICカード認証を実装。そのことで最後の障壁がなくなり、同社はOneGateの採用を正式に決定した。

OneGateによりストレスのない認証を実現。安定性と運用管理性にも満足

 こうして同社は2023年9月より、全国約400店舗でOneGateによるICカード認証を実現。アルバイトを含む約12,000人の従業員は、共有のスマートフォン、タブレット、ノートPCの各デバイスの立ち上げ時にICカードで個人認証を行い、ポータルサイトへのログイン以降はSSOを用いて各業務アプリを利用する。

 ICカードは社員証として活用しているFeliCaを利用。識別情報をcsvでOneGateに登録することで、カード自体はそのまま利用できる。スマートフォンはNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)を用い、本体にICカードをかざすだけでOK。タブレットは、ストラップ付のケースにカードリーダーを収納するポケットを特注して利用。ノートPCも外付けのカードリーダーを用いて利用されている。

 導入の成果を、玉置氏は次のように評価する。

「OneGateの導入により、これまで多発していた認証不具合が解消しました。また、システムに起因するトラブルも一切ありません。朝の始業の時間帯に全従業員が一斉にアクセスして認証を行うため、導入当初は遅延などが起こるのではと不安がありましたが、レスポンスも問題なく、快適に利用できています」

OneGateの管理性と操作性について、尾林氏は次のように評価する。

「当社では1日におよそ50~60人のメンテナンスが発生しますが、OneGateのユーザビリティは非常に高く、運用効率も向上しました。海外製品と違いメニューも細かなところまですべて日本語で分かりやすく、マニュアルを読まなくても直感的にやりたいことができる。機能面でも、CSVによる取り込みや一括設定など、非常に使いやすく満足しています」

連携性の高い認証基盤整備により、さらなる業務変革のスピードアップ を目指す

 尾林氏は、今回のOneGateの導入は、同社が目指すDXの方向性とも合致しているとして、次のように評価する。

「従来のカスタマイズでのシステム開発では、何か新しいことをやろうとするたびに予算を上申する必要があり、開発のための時間もかかります。当社はkintoneのノーコードで業務アプリ開発を内製化、変革のスピードアップを図っており、今回認証の仕組みをIDaaSであるOneGateにしたことで、その流れに対応できる手応えを感じています」

 今後について、玉置氏は「OneGateはSAML連携検証済のクラウドサービスも豊富で、拡張性も高い。今回、まずは店舗側の顔認証問題の解決を優先させましたが、将来的には本社側の認証とSSOもOneGateに統合し、シンプルにして運用管理の工数をさらに下げたいと考えています」と、期待を寄せる。

 最後に尾林氏はソリトンへの期待について、こう結んだ。

「ソリトンはセキュリティと認証を扱う企業だけあって堅実な印象ですが、今回のプロジェクトではフットワーク軽く対応いただき、感謝しています。これからさらに連携サービスが増えることが予想されるので、引き続きサポートや有益な情報、ソリューションの提供に期待しています」

お忙しい中、有り難うございました。

※本ページの内容は、2024年5月作成時の情報に基づいています。

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