導入事例

大末建設株式会社

データ量が急激に増加する建設業界
容量や性能に安心感のあるファイルサーバを導入

大末建設株式会社
  • ストレージ仮想化機能により、優れた拡張性を実現
  • 自動ティアリング機能※1により、性能とコストの両方を高度に実現
  • 「野良NAS」を一掃しただけでなく、HA 構成やアクセスログ管理も実現

大末建設株式会社様 イメージ図

 これまでのファイルサーバは、大阪にプライマリ、東京にバックアップという遠隔レプリケーション構成で、全てのアクセスが大阪のサーバに集中するため、アクセス速度などに課題があった。

 VVAULTによるサーバ構築後は大阪・東京の2拠点でHAとし、平常時にはアクセス分散、災害時には業務継続を実現。自動ティアリング機能※1で速度要件とコスト要件を両立しただけでなく、容量追加も容易に行えるため、急なデータ量増大にも対応できる安心感も得られるようになった。

本社に集約していたファイルサーバが逼迫し、更新時に対策を検討

 1937年に大阪で創業。1947年には株式会社化し、現在はゼネコンとして全国で事業展開する大末建設株式会社。分譲マンション施工では業界屈指の実績を有し、豊富なノウハウに基づく安全・品質管理の追究や技術提案を通じて顧客からの信頼も厚い。また総合建設会社として、オフィスビル、物流倉庫、工場、医療施設など多彩な建物の施工に対応、リニューアル事業も手掛ける。

 建設業は近年、特にデータ量が急増している業界だ。設計データは、2次元CADから3次元CAD、さらに建物全体、部品や部材、設備機器にいたるまで統合的にモデリングするBIM(Building Information Modeling)へと発展していくにつれ、増加してきた。測量ではレーザースキャナや写真測量などのテクノロジーが普及し、実施するたびに大容量の点群データが蓄積されていくだけでなく、前回との差分も容易に得られるため頻繁に実施されるようになっている。施工段階のさまざまな作業でも、これまで以上に数多くの記録写真を撮影するケースが増えてきた。こうした傾向は新築でもリニューアルでも同様で、竣工後も維持管理のため大半を保存し続ける必要があるのはもちろん、点検や維持作業のたびにデータが追加されていくことになる。しかも、これらの変化が過去10年~数年ほどで一気に進んだことから、ファイルサーバを管理するIT部門にとって、予想をはるかに上回るデータ量の増大をもたらす結果となった。

 こうした近年の急激なデータ量増大により、大末建設でも2014年に導入したファイルサーバが対応しきれなくなっていた。システム部 部長を務める関谷道興氏は、課題だった点を以下のように語る。

「当時は大阪の本社にファイルサーバを設置し、部門およびプロジェクト単位の共有フォルダ、個人のネットワークフォルダとして全社員に提供するという利用形態でしたが、保存容量の逼迫でフォルダ容量拡張の要望があっても応えることができなくなっていました。各部署では不足を補うためNASや外付けHDDを独自に導入し始め、我々システム部もそれを黙認するしかなかったほどです。また、アクセスが一極集中していたせいもあり、レスポンスに対する不満も高まっていました」

 また、容量逼迫という事情があったとはいえ、IT部門が管理していないNASの増加はセキュリティやガバナンスの上で大きな問題となる。ファイルサーバの保守切れが近づいていた2018年、システム部では拡張性やレスポンスを抜本的に改善することにより、この問題の解決を目指した。

予想外のデータ量増加を見込んで拡張性に優れたシステムを検討

 前回導入時のベンダーも含め、いくつかの提案を受ける中で、システム部 副部長の中鶴昌喜氏は、一つのソフトウェアに興味を持った。それが、ソリトンシステムズのストレージ仮想化ソフトウェア「VVAULT」だった。

「容量拡張は単純にディスクを追加するだけで、クラウドのように気軽。分散環境にも対応できる上に、一極集中管理も可能。また、当社では365日分のバックアップを確保するようにしていますが、VVAULTならその分のコストを抑えることができます」と、中鶴氏は評価する。

 この365日分のバックアップは、ユーザーの誤操作からのリカバリが主な目的で、当然ながら頻繁に利用するものでなく、平均すると月に1回程度だという。そしてVVAULTではコスト優先のストレージを組み込むだけで、自動ティアリング機能※1がアクセス頻度の低いファイルをそこに保存してくれる。

「365日分のバックアップは、他のベンダーなら費用が跳ね上がる要件です。保存領域を確保するため別筐体で追加することになれば、管理負担も増えかねません。VVAULTなら、あれこれ考えず不足したら追加するだけで済むので、将来の容量予測も見積もりも、ざっくりで大丈夫です」(中鶴氏)

 逆に、アクセス頻度の高いデータはSSDなど速度優先のストレージへ自動的に配置されるため、十分な性能のストレージを組み込んでおけば体感速度も維持される。これにより拡張性や容量と、コストの両立が可能になるのだ。

 さらに、VVAULTに興味を持った中鶴氏がソリトンシステムズに相談したところ、大末建設の要件を踏まえた独自の提案を受けることができた。それは、大阪と東京の2拠点による自動フェイルオーバー(HA)構成だ。

「大阪と東京は、どちらも多くの社員が働く拠点です。以前は大阪のファイルサーバを東京にレプリケーションして災害対策としていましたが、ソリトンシステムズはクロスレプリケーションを提案してくれました。平常時にはアクセス分散、災害時には業務継続が容易にできる構成です」(中鶴氏)

容量やアクセス速度、データ保護等の安心感が向上し、野良NASも一掃

 こういった、他の提案にないさまざまなメリットを高く評価して、大末建設はVVAULTの採用を決定した。導入は2019年春に行われ、既存ファイルサーバからのデータ移行を経て夏に切り替えを完了している。

「ネットワークが遅くて、想定より転送に時間がかかってしまいましたが、無事に移行して切り替えられました。各部署が独自に導入した『野良NAS』については、各部署に要請して自発的にVVAULTへ移行しています。システム部として『VVUALTに移行すれば責任を持ってバックアップする』『システム部の関与しないNASは故障しても対応しない』と宣言したこともあって、システム部が把握している範囲では集約できました。移行後には、フォルダ容量拡張リクエストが頻繁に来ており、VVAULTの活用が進んでいるのは間違いありません」と中鶴氏は言う。

 ユーザーから、バックアップからのリカバリをリクエストされることもある。これに対しては、設定された保存期 間内の任意のタイミングで任意のファイルをリカバリできる、VVAULTのタイムマシーン機能を活用している。

「タイムマシーン機能は使い方が簡単で、しかも思っていたよりも迅速にリカバリでき、確実に戻せるという安心感があります。タイムマシーン機能によるリカバリ対応に加え、VVAULTに切り替えてからはフォルダ容量拡張リクエストにも随時対応しているので、ユーザーの間でも野良NASを使う動機は薄れているはずです。システム部にとっても容量への不安が払拭され、少しくらい予想外の増加があっても対応できるという安心感があります。VVAULT導入後に子会社化した企業がありましたが、そのファイルサーバの内容も無事に収容することができました。VVAULTは傘下の子会社分も含め、ファイルの一元管理を実現。同時に導入した『VVAULT AUDIT』によるアクセスログ管理も合わせ、グループのガバナンス強化にも役立っています」(中鶴氏)

要望していなかった内容もユーザー目線で独自に提案するソリトン

 ソリトンシステムズでは、大末建設が導入したVVAULT環境の監視も行っている。

 関谷氏は「他のベンダーでは、我々がリクエストすれば追加してくれますが、リクエストがなければ何もしないことがほとんどです。それに対しソリトンシステムズは、当社の事情を踏まえた上で、VVAULT環境の監視を提案してくれました。システム部の人員は合計7名で、限られた人数で幅広い業務を担当しているため、ソリトンシステムズのように隙間なく提案してくれるのは非常に助かります。今後も引き続き、さまざまな提案を待っています」と、期待を寄せる。

お忙しい中、有り難うございました。

※本ページの内容は、2020年 6月作成時の情報に基づいています。

  1. 仮想ディスクを速度の異なるディスクで構築した場合、ファイルの使用頻度に応じて管理位置を自動的に変更する技術。
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