導入事例

株式会社ジュピターテレコム 関西メディアセンター

業界最大のケーブルテレビ会社が生放送番組に
「Smart-telecaster」シリーズを活用
機動性・高画質・複数回線・画質調整の条件を全て備えた
唯一のシステムとして高く評価

株式会社ジュピターテレコム 関西メディアセンター
  • 機動性・高画質・複数回線・短遅延・画質調整の条件を全てクリア
  • 東日本大震災の被災地から関西エリアに向けて生中継を実現
  • ハイビジョン版への移行により画質が向上・取材可能エリアが拡大

J:COMチャンネル関西エリアで人気 夜8時からの生放送バラエティ

 ジュピターテレコム(以下、J:COM)の関西メディアセンターは、同社が保有するコミュニティチャンネルの統合放送(セントラルキャスティング)の1拠点であり、グループ会社のジェイコムウエスト、吹田ケーブルテレビジョン、高槻ケーブルネットワーク、東大阪ケーブルテレビ、豊中・池田ケーブルネット、ケーブルネット神戸芦屋の各社のコミュニティチャンネル全18局を管轄して、地域の番組を統括的に配信する関西エリアの主要拠点となっている。

 ここで独自に制作・放送されるJ:COMチャンネルは、地域行政の広報番組から地元商店街の安売り情報まで、暮らしに役立つ地域密着型の情報を中心に番組編成されているコミュニティチャンネルだが、中でも人気の番組が「8時です!生放送!!」(以下、8生)だ。月~金の毎日、夜8時からの生放送バラエティで、個性溢れる出演者たちが日替わりで番組を担当し、関西の今や旬の話題などを豊富に提供する。

 この8生の番組内でスタジオの外からの生中継を支えているのが、ソリトンシステムズのライブ映像中継システム「Smart-telecaster」シリーズである。

Smart-telecasterでライブ感向上 生放送の条件をバランスよく実現

 通常、生中継を行う場合は、中継車やSNG(通信衛星を活用した放送)用システムなどを用意し、通行に影響を与える場合は事前に申請を行うことが必要となる。しかも、大規模な中継システムを毎日稼働させるには予算がかかりすぎ、またスタッフの人数も限られる中で中継を実施しなければならない。ケーブルテレビの場合は、電柱の上に設置したHFC(光/ 同軸変換器)のタップにケーブルを直接繋いで映像・音声を送信することも可能だが、ケーブルの長さにカメラの移動範囲が限られ機動性が低い上に、警備員も配置する必要がある。

「低コストで手軽に運用でき、高品質な中継が可能なシステムはないものかと探し続けていました」と話すのは、ジュピターテレコム コミュニティチャンネル部 関西メディアセンター アシスタントマネージャーの田川 雅士氏だ。 2008年からスタートした8生は、当初はスタジオ内だけでの番組構成が主だったが、“生放送” と銘打つからには街中での中継を行うなどライブ感を高めることが大きな課題だったという。

 関西メディアセンターでは、2009年頃からモバイル回線を利用する中継システムを比較するために複数の製品でデモを繰り返していた。選定の条件は、1)送信機がコンパクトで機動性が高いこと。2)映像がメイン画面に使えるほど高画質であること。3)通信回線が固定されておらず複数の回線を環境に応じて使い分けられること。4)受信側でビットレートに応じた画質調整が可能であること、の4点。

「1回線しかサポートしていなかったり、放送に耐えられるだけの画質を維持できない製品もある中で、全ての条件をバランスよく実現していたのがSmart-telecasterだけでした」(田川氏)

 2010年7月の番組の大幅リニューアルを機に、8生では街中からの生中継も積極的に行うこととなった。それを可能にしたのがSmart-telecasterというわけである。

東日本大震災の被災地に乗り込み 復旧を支援しながら生中継を実施

 その実力が注目される機会が訪れる。2011年3月の東日本大震災だ。J:COM仙台エリアでは放送業務が困難な事態となり、関西エリアからも田川氏ら3名が応援に駆けつけた。その際、Smart-telecasterも持参していた。

「阪神淡路大震災での経験を東北でも活かせないかという思いが強くありました」と語る田川氏は、1ヶ月ほど現地にとどまり、昼間は仙台市民に向けた番組作りを手伝い、夕方以降は関西エリアの視聴者に向けて8生枠の生中継で被災地の現状を伝えていったという。

 田川氏と同じ関西メディアセンターの森田 周作氏は、「被災地から最初の中継映像が飛び込んできた瞬間にスタッフ一同胸が一杯になりました」と話す。当時は地上波TV局の報道でしか状況を把握できず歯がゆい思いをしていたという森田氏は、「J:COMのスタッフが現場からリアルタイムに状況を生中継し続けたことで、関西エリアの視聴者にも状況がオンタイムで伝わったと思います。あの時は少人数でも運用が可能なSmart-telecasterを導入して本当に良かったと実感しました」と述べる。

 また田川氏も、「被災地の悲惨さばかりを伝えず、復旧に向けて必要な物資の情報や、頑張っている人々の生の声を伝えるようにしたことで、意味のある放送ができたと考えています」と振り返る。

画質が向上し取材可能範囲を広げた Smart-telecaster HDの導入

 その後も8生では、大阪・道頓堀のクルーズ船上からのレポートや造幣局の桜の通り抜けの夜桜風景など、視聴者視点での中継が毎日どこかで行われている。PCとビデオカメラだけで鮮明な映像中継を可能にしているため、同業者からの関心も高いという。

 また、2012年3月にハイビジョン版であるSmart-telecaster HDを3セット追加で導入し、10月からスタートするハイビジョン放送に備えて運用を開始している。関西メディアセンターの下田 素司氏は、「Smart-telecasterを SD(スタンダード)版からHD版に移行したことで画質が大幅に向上し、1Mbps程度にビットレートを落として中継しても画質の粗さが目立たなくなりました。その結果、取材可能なエリアが広がっています」とその効果を訴える。

 画質の調整はセンター側でリアルタイムに調整できることが大きなメリットという下田氏は、HD版になってから安定性が向上し、そうした調整作業も減少したという。「スタジオと現場との双方向の掛け合いも短遅延でスムーズに実現するので、生放送番組のライブ感が格段にアップしました。 それを可能にしたSmart-telecasterの機動力は番組制作上非常に重要な要素。放送業務向けに非常に良く考えられた製品だと思います」(下田氏)

 現在、J:COMの関西エリアでは、番組を制作する局が全部で7拠点あり、8生で実証したSmart-telecasterの機動力をローカル番組にも応用し、8生以外にも生中継の機会を増やしていく計画だ。また、災害など有事の際にも地域の情報をライブで発信できるような体制を構築していくという。

「Smart-telecasterシリーズは人手やコストをかけずに中継を行うことを可能にし、J:COMチャンネルの番組作りになくてはならない機器の1つになっています」と評価する田川氏は、今後さらにその活用の範囲を拡げて新たな番組作りにつなげていく考えだ。

お忙しい中、有り難うございました。

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